事実は小説より奇なり。事実のハッキングは,小説のハッキングなどよりよっぽど面白い。新世紀には,どんなハッキングが現れるか。それを考えるだけでわくわくする。
ウェブ上の「ハッキング活動家」による独創的で破壊的な仕業をいくつか選んでみた。それらは,ウェブ文化に欠くことのできない,興味をそそるセンセーショナルなものだ。インターネットの黎明期にサーバーの1割をクラッシュさせたワーム,映画会社の宣伝の疑いがあるサイト書き換え,通信品位法に反対するユーモアあふれる司法省サイトの書き換え,血なまぐさい非暴力政治活動,残酷なジョークによる企業攻撃,そして,ハックに対する意識を変えたフィクションの国防省サイトハッキング…。
そろそろ今年を振り返る時期…,ということで思い返すと,6月には毎日新聞や朝日新聞のサイトが書き換えられる事件が起こったり(過去記事),8月にはウインドウズ・メディア・オーディオがクラックされたり(過去記事),10月にはDVDのコピー防止技術がハッキングされたり(過去記事),マイクロソフトの非公開サーバーが書き換えられたり(過去記事),小欄でもいくつか取り上げた。でもその他にもちょくちょく,あそこのサーバーがハクられてる…なんて記事をニュースサイトで見かけた。日本のサイトとて,十分標的になる得るようになってきた,というのは今年の大きな変化か。
記事を読んで思うことは,どのハッキングも,なんと独創的で,想像力に富み,あるときは厳格に意志を表し,あるときはユーモアにあふれているか,ということ。ハックと云うもの自体が成熟しなければ,こうはいかない。まぁ現在の1位はフィクションだが,これに取って代わるとんでもないハックが起きるかどうか。そんなことを思いながら,2000年を迎えたい。
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